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こんこん、と軽いノックの音が聞こえる。
レポートを提出しに来た生徒か?と高雄は書類から眼を離した。

「どうぞ」

「失礼します、小倉せんせ」

「比叡!?」

顔を覗かせたのがいたずらっ子のような笑みを浮かべた妹だということに高雄は目を丸くした。

「どないしたんや?来んやったら電話すればよかったんに」

「兄さんの研究室宛の手紙が誤送されたし、届けにきたんよ。」

そうか、と頷いて高雄は妹の白い右手に気付いた。確かに比叡の肌は白いが、この白さは肌のものではない。

「比叡、どないしたんやその手」

「え?ああ、転んでひねったんよ。」

「大丈夫なんか?」

高雄は包帯の巻かれた手を取ってふと違和感を感じた。
保健室で働く女性たちならもっと丁寧に包帯を巻くだろう。
確かにしっかりと固定されているが所々ほつれそうなまき方に一体どこでした怪我なのか気になる。
佳代ならなおのこともっと丁寧なはずだ。

「比叡」

「はい?」

「誰に手当てしてもろたんや?」

「唐杉先生やけど」

返ってきた名前に高雄は目の前が真っ暗になりそうだった。
開いた口も塞がらないとはまさにこのことだ。
よりによって学内一の変人の唐杉になんで妹が世話にならなければならないんだと声を大にして叫びたかったがあまりの非常事態にそれすらかなわなかった。
 
「か、唐杉?おまえ、あの男と知り合いなんか?」

「さっきぶつかってしもて手当てしてもろたんよ。」

しかしそんな妹の言葉は耳に届かない。
分かったのは唐杉が比叡にぶつかって怪我をさせたということだ。

「あの男・・・」

「兄さん!」

比叡の叫ぶような声に高雄はあわてて現実に意識を戻す。
目の前には比叡の少し怒った顔があった。

「兄さんはいつも人のせいばっかりにして!今日はうちがぶつかったん!」

「せやけど」

「にいさん?」

じっ、と比叡の黒い双眸が高雄をにらみつけた。
比叡は普段穏やかな分、怒らせると説教が長いのだ。

「わかった、何もいわへん…」

「約束する?」

「する、するからそんな顔すな」

別嬪さんやのに台無しやと高雄が口にすると話をそらすなとばかりに、もうひとつ比叡の怒鳴り声が部屋に響いた。
 
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