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「っ…と」

唐杉は足にぶつかった荷物の山に顔を顰めた。
つい先日までこの部屋はもう少し片付いていたはずなのに、何時からこんなに散らかったのだろうかと思い返せばいつも出てくるのは小倉教授の妹の顔だった。
他人にあまり興味を持っていなかったためか、唐杉が特定の人間の顔を覚えるということはなかったが彼女の顔はすぐに思い出せた。
 
すこしのんびりとした彼女は思い返せば部屋に来るたびに少しずつ散らかっていた荷物を片付けて換気をしていた。
 
「すこし片付けないといけませんかねえ。」
 
持っていた書類をひとまず壁に貼り付けると、床に置かれた荷物の一つに手を伸ばした。
昔は散らかった部屋など気にも留めなかったが、一度綺麗な部屋に慣れてしまうとこんなにも不便に感じるのだろうか、と少しばかり忌々しく思ってしまう。
研究中の課題に生徒に出した課題やレポート、自分のまとめたレポートに色々と集めた資料やサンプルがほとんどこの研究室にある。
家に帰るよりもここのほうが作業が進むものだから泊り込むこともしばしばあった。

そういえば、最近彼女は姿を見せないなと気になってカレンダーを見た。

カレンダーは買ったときのまま、四月で時を止めている。
昔から時間などあまり気にもしなかったが、こんなに酷かったのかと改めて自覚させられた。
仕方なく普段からつかっているシステム手帳を取り出すと、改めて予定を確認した。
時間を気にしないとはいえまめに予定は確認していないと、それこそ忘れてしまうことがままあるからだ。

「…そういえば会食がありましたっけね。」

漏れるのはため息だった。
こういった人の集まりは苦手だった。
人あたりがいいとはいえない性格でも許されているのは今までに作った研究のレポートや実績のためだろう。
心底面倒くさいとは思ってもこちらの都合で蹴るわけには行かない。
「これも仕事だ」と思いなおし適当なメモに書き付けるとそれもデスクの前の壁に貼り付けた。

これが部屋を汚くする原因だとは気づいていない辺り、唐杉はいかに優秀といえど片付けの才能は持っていなかったのだろう。
しかし才能がなくても部屋は片付けなければ落ち着いて作業も出来ない。
やるしかないかと唐杉は一種の諦めの境地に至るとノロノロと床に置きっぱなしになっていた荷物を片付けるべくしゃがみこんだのだった。

 
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