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× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 6.旦那・黒羽 昨日ベッドに入ったのが遅かったためか、いや・・・むしろベッドに入ったのは今朝だった。 とにかく、枕もとの時計を引き寄せて鼻が文字盤に付きそうなほどに顔を近づける。 ソレでも尚眼を細めて時間を読み取ろうとしているが、そんなことをするよりも眼鏡を掛けたほうが早いだろう。 「10時・・・ですか。」 寝起きでなくとも鋭い顔つきは、よりよくものを見ようと眉を潜めたために益々悪くなっている。 恐らく比叡と隣り合って歩けば誘拐犯に見られるかもしれない。 いや、実際過去に職務質問を受けたことがあるのだ。 元が美形なだけに仏頂面になると怖さが割り増しだ。 黒羽はようやく時計をヘッドボードに戻すと眼鏡をかけ、腰ほどまでに伸ばしている髪を縛った。 笑えるエピソードではあるが、この男が無精に髪を伸ばしているのも、まだ若かった頃に比叡に「短いのよりもにおてます」と言った一言が切欠だ。 ユージンも黒羽も単純といえば単純である。 この男の場合はソレがのろけにはや代わりするからたちが悪いのだが。 愛用の白衣をガウン代わりに手にとってはおると彼はそのままリビングへと足を向けた。 多分この時間なら比叡が洗濯物でも畳んでいるだろうと思っての行動だったが、リビングの扉を開いた彼は不在が多い長女と長男を見つけて唇の端を吊り上げた。 「おはよう、二人がいるとなんだか新鮮ですねぇ。」 「あら、パパ久しぶりね。」 朝の不機嫌はどこへ行ったのか、すっかり普段どおりのルシエルはパタパタとスリッパの音と共に黒羽の元へと駆け寄ると首に抱きついた。 小さい頃は足か腰だったのに、と感慨にふけると共に「年をとったなぁ」とつくづく実感させられる。 「・・・僕も、それをするべきですか・・・?」 年頃の男の子としてはやや恥ずかしいものがあるだろう。 何よりユージンはもう黒羽と同じくらい身長があるのだ、いやもしかすると追い越しているかもしれない。 「さぁねぇ、君の好きにしなさい。」 息子の戸惑いを見て黒羽はくすくすと笑って肩を揺らす。 結局姉の真似をしてユージンも抱きついては見たが、予想外に父親との顔の距離が近くてすぐに離れてしまった。 「おはようございます、比叡さん」 「おはようございます。なんかお腹に入れはります?」 「大丈夫ですよ、お昼までそう時間は空いていませんから。」 朝の挨拶と称して頬にキスを交わすのは恐らく近隣一体で我が家だけだろう、と娘息子は理解していた。 何せ学校に行ったばかりの頃に先生に友人におはようのキスをしてしまって大騒ぎになったのだから。 現在末っ子のトキとシギは長女のルシエルと13歳も離れている。 この分だと、いつか自分の子供といっても可笑しくはない妹か弟が出来ても不思議じゃないなと彼女はなんとなく思った。 「せや、黒羽はんお昼は何がよろしい?」 「そうですねえ・・・。久しぶりですし4人でどこかに行きましょうか」 「あら、ええねぇ。4人やなんて滅多に行けませんし。」 「次はユージンが酒を飲めるようになる頃でしょうね。」 いつまで経っても若い二人だと姉弟は揃って溜息を零す。 とりあえず、久方振りの4人での外食は決定したらしい、呼ばれるまでは夫婦水入らずでそっとしておいてやろうと、二人は何も言わずに頷きあうとそっとリビングを後にした。 それを知ってかしらずか、黒羽は比叡の隣に座るとなんでもないようなことを談笑しながら洗濯物を畳み始めるのだった。 Fin... **あとがき** このシリーズも終了いたしました。 短編っていうか中編って感じでしたね。 「鴉と華」の黒羽と全く全然違う感じですがそのわけも、「鴉と華」でお楽しみください。 軽くキャラ紹介的な唐杉家のある一日でした。 PR ![]() ![]() |
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羽白ウサギ
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管理人の詳しい取り説はmixiにて(笑)
壊れやすいナマモノですので、説明書をちゃんと読んで楽しく遊んでね<(どうやって遊ぶんだ)
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