オリジナル小説でNL・BLなんでもありのサイトです。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
(あいにく、海なんて写真でしか見たことあらしませんけど…) 「・・・此処の学生ではありませんね。」 「え?は、はい。」 どうもこの男と話すのは調子が狂った。 男は少し首を動かして比叡のほうに顔を向ける。 正面から見る顔はさっき見上げたときと同じ、冴えない男だった。 「此処の学生は私が隣に座るとなればすぐに立ち去りますからね。」 なぜ?とは聞かずともなんとなく分かった。 「そう、なんですか。」 比叡もそう答えるしかなかった。 「誰か生徒か教授のご家族ですか?」 「はい、古典文学らしいんですけど、小倉高雄て知ったはります?」 ああ、でもこれだけ広い学内だと教授同士でも知らない間柄が合ったりするんだろうか、と思ったのは口にしたあとだった。 「いや、まさかお目にかかれるとはね。」 その妙な言い回しに比叡は眉をひそめて首をかしげた。 「あの、兄が何か・・・?」 「いえ、ね。有名ですよ、あなたは。」 どうしてきたこともない大学で有名なのか。 「聞きたいですか?」 「是非・・・」 あまり聞きたくなかったもののついその先を促してしまう。 「小倉教授のデスクにね、飾ってあるんですよ。あなたの写真が。」 「うちの?」 ええ、と男は頷くとまたクククと笑った。 「男性教授は見るだけで怒られますよ。『お前たちが見ると減る!!』ってね。」 一体何が減るんだか。比叡はあまりの過保護ぶりにカァと頬を真っ赤に染めた。 「兄がすんません。どうにも小さい頃から過保護みたいで。」 「いいじゃないですか。仲がよくて。」 自然に返されたその言葉に、「そう思いますか?」と尋ねると男はゆっくり頷いた。 「比叡っ!」 耳に届いた聞きなれた声に比叡は顔を上げた。 「さて、怖いお兄さんに怒られる前に私は退散するとしますかね。」 「え?あ、あの?」 「では」 男は軽く頭を下げるとタバコをもみ消してもと来た方向へとよれよれの白衣を揺らしながら歩いていってしまった。 PR ![]() ![]() |
プロフィール
HN:
羽白ウサギ
性別:
非公開
自己紹介:
管理人の詳しい取り説はmixiにて(笑)
壊れやすいナマモノですので、説明書をちゃんと読んで楽しく遊んでね<(どうやって遊ぶんだ)
カレンダー
カウンター
最新コメント
|