オリジナル小説でNL・BLなんでもありのサイトです。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 このブログにアップしていく小説は根本にある設定が全部同じ、一つのシリーズになっています。 NLあり、BLありで管理人が好き勝手にやっていますが、どうぞ生温かい目で見つめてやってください。 基本は現実世界と同じ構造ですが、途中魔法が出てきたりだとかこれまた好き勝手な世界観になっています。 なので、やっぱり生温かい目で見守ってやってください。 こんな設定ありえるか!とかパクリ転載目的の方はどうぞお戻りくださいませ。 この小説は管理人が☆年間じっくり温め続けてきたものです、二次創作ではありません。 もちろん、うちの子たちを愛でていただけるのはとてもうれしいですが、その際はぜひご一報願います。 それでは、どうぞ ごゆっくりお楽しみくださいませ。 PR 一方縛られない男、唐杉黒羽は見事に縛られていた。 会食という彼にとって面倒かつ重要で省くことできないイベントに。 大学の給料はもちろんだが、唐杉個人の研究に対するスポンサーは名前も覚えていないこの男たちだ。 研究の価値を本当にわかっているのかどうだか…、男たちは偉そうに自分たちの知る知識をペラペラペラペラ馬鹿みたいに振りまいていた。 笑顔を張り付けて愛想笑いを振りまくのもいい加減疲れてきた。 もともとそういう分野は得意ではないのだ、と内心ぐちを零しため息をこらえる。 内庭に目を向けて時間をやり過ごそうとして、そこにありえない姿を見つけた。 同時に幸運だとばかりに笑みを浮かべる。 「申し訳ありませんが、少々席を外させていただいても?」 「おや、どうかされましたか?」 「いえ、同じ大学の教授の妹さんの姿がありましたので、挨拶を。」 失礼、といささかわざとらしく腰を上げると痺れた足に顔をしかめながら内庭へと出た。 若い男と一緒なところを見ると恋人か、そうでなくとも悪い仲ではないだろう。 邪魔をするのはやや気が引けるが、一時でもこの場から逃れたい唐杉にしてみればそんなことは知ったっこっちゃない。 「比叡さん」 「へぇ?」 振り返った比叡は、あからさまに驚いた顔をして目を見開いた。 なにせ、比叡の想像では今頃研究室にこもって紫煙をもうもうと室内に蔓延させているはずの男だったからだ。 「か、唐杉先生?なんでこないなところに」 「比叡さん、お知り合いですか?」 「へえ…その」 なぜか比叡は言いよどんだ。素直に兄の同僚であるといえばいいのに、なぜかそう言いたくなかった。 その代わりとばかりに唐杉が、いつものひょうひょうとした様子で口を開く。 「あぁ、私は彼女のお兄さんの同僚ですよ。今日はスポンサーの方との会食だったんですが、どうにもああ言った席は苦手でね。彼女を理由に少々席を外させていただいたんです。」 「そうでしたか、高雄さんの。僕は松原慶吾といいます。」 「唐杉黒羽と言います。彼女との関係を聞くのは、野暮というものですかね」 「いえ、彼女の交友関係は知っておきたいですから。僕は彼女の婚約者です」 思いがけず会話が弾む二人を見て比叡はやや疎外感を感じながら唐杉を見ていた。 なぜか、慶吾ではなく唐杉の方を。 会わなくなって久しいとはいえ何ヶ月も経ったわけではない、だというのにひどく懐かしく、偶然でも会えたことがひどく嬉しかった。 そして、慶吾と居るのを見られたことが、少し悲しかった。 それがなぜなのかは分からないが。 慶吾もある種の研究者である、それゆえに唐杉と気があったのか会話は盛り上がりを見せていた。そう長く時間稼ぎは通用しないらしいが…。 「唐杉君、そろそろ…」 「…はぁ、どうやらおよびのようですね。面白い話が聞けて楽しかったですよ松原君」 「ええ、こちらこそ。比叡さんの友人があなたのような方でよかった。」 えぇ、と肩をすくめ唐杉は背を向けると彼を呼ぶスポンサーの方へと戻っていく。 これを逃せば、もう話すことはできない…そう感じて咄嗟に比叡は声をあげていた。 「あ、あの!唐杉先生!!」 「…なんでしょうか?」 ゆるりとした動きで唐杉が振り返る。 どこか異国の雰囲気を漂わせるような顔立ちの男だが、いつもとは違いしっかりと身なりを整えスーツに身を包む唐杉の姿はこの場にしっくりとなじんで見えた。 まるで一枚のポートレートの様な光景に一瞬見とれて呆けそうになっていた比叡はあわてて我を呼び戻す。 「また、本をお借りに伺ってもよろしいですか?」 是とも否とも、返答を望んでいるつもりはなかった。唐杉なら嫌だとしても断ることはなく無言でどこかへ行ってしまうだろうと思っていたから。 唐杉は何を言い出すのか、とばかりに比叡を見つめて、そして肩をすくめる。 「ええ、お待ちしていますよ。」 其処に浮かぶのは、いつもの怪しげな笑みではなくふわりとほほ笑むような表情だった。 さて、件の日曜日。比叡は落ち着かない様子で目の前に座るスーツの青年を見た。 慶吾は確かに上流階級を思わせる風格を持った青年だった。若い割にしっかりとはしている。しかし… 「それでですね、オペラと言うのは」 (この人、さっきから自慢ばっかりやわ…) うんざりしたように比叡はこっそりとため息をついた。 そもそも、純和風の家で育てられた比叡と、海外をあちこち飛び回って育った慶吾とでは嗜好があう筈もない。 和菓子や和食が好きな比叡に対し、予想通り慶吾は自らの手がける洋菓子の話ばかりをしていた。 「何よりですね、あれほどの職人の技を間近に見れる機会などめったにありません。」 「すごおますなぁ」 慶吾は比叡の打つ相槌を自分の話が面白いからうたれる物だと思っていたが、実際のところ、比叡はすこし飽きはじめていた。その視線は部屋のすぐ傍にある内庭へ注がれている。 「どうなされました?」 比叡の相槌がやんだことに気づいたのだろう。かけられた声に比叡はあわてて慶吾に向き直った。 「い、いえ…見事なお庭やとおもいまして。」 内心しまったと思いつつ、無駄にごまかすよりも素直に答えた方がいいだろう、と比叡は再び庭へ視線を移した。 「ああ、私はあまり日本庭園を見る機会はないのですが、確かに趣があるものですね。」 「ええ、私の家は日本家屋なもので、こちらのほうが落ち着きます。」 「なら、すこし内庭を散策してみますか?」 「圭吾さんがよろしぃんでしたら。」 比叡は内心慶吾の洋菓子の話がやんだことにほっとしていた。 先に立つ慶吾の後から静々付いていき、不意に足を止めてしまった。 「どうかしましたか?」 「いえ…」 気のせいだ、比叡は自分にそう言い聞かせてまた話を始めた慶吾に相槌を打ちながら歩き始める。 比叡の足をとめたのは、ここしばらく聞いていない唐杉の声だった。 聞こえるはずのない男の声に比叡はどきりとした。 同時に男を思い出して、比叡は懐かしさと羨ましさがこみ上げてくる。 唐杉はきっと何かに縛られたりはしないのだろうと…。 きっと今日もあの甘い匂いのする煙草を口にくわえ、部屋に煙草の煙の霧をため込みながら研究にでも没頭している。 慶吾が嫌いなわけではないが…だが、何か遣る瀬無い、空虚な思いを抱えながら比叡は空を見上げた。 「っ…と」
唐杉は足にぶつかった荷物の山に顔を顰めた。 つい先日までこの部屋はもう少し片付いていたはずなのに、何時からこんなに散らかったのだろうかと思い返せばいつも出てくるのは小倉教授の妹の顔だった。
他人にあまり興味を持っていなかったためか、唐杉が特定の人間の顔を覚えるということはなかったが彼女の顔はすぐに思い出せた。
すこしのんびりとした彼女は思い返せば部屋に来るたびに少しずつ散らかっていた荷物を片付けて換気をしていた。
「すこし片付けないといけませんかねえ。」
持っていた書類をひとまず壁に貼り付けると、床に置かれた荷物の一つに手を伸ばした。
昔は散らかった部屋など気にも留めなかったが、一度綺麗な部屋に慣れてしまうとこんなにも不便に感じるのだろうか、と少しばかり忌々しく思ってしまう。
研究中の課題に生徒に出した課題やレポート、自分のまとめたレポートに色々と集めた資料やサンプルがほとんどこの研究室にある。 家に帰るよりもここのほうが作業が進むものだから泊り込むこともしばしばあった。 そういえば、最近彼女は姿を見せないなと気になってカレンダーを見た。 カレンダーは買ったときのまま、四月で時を止めている。 昔から時間などあまり気にもしなかったが、こんなに酷かったのかと改めて自覚させられた。 仕方なく普段からつかっているシステム手帳を取り出すと、改めて予定を確認した。 時間を気にしないとはいえまめに予定は確認していないと、それこそ忘れてしまうことがままあるからだ。 「…そういえば会食がありましたっけね。」 漏れるのはため息だった。 こういった人の集まりは苦手だった。 人あたりがいいとはいえない性格でも許されているのは今までに作った研究のレポートや実績のためだろう。 心底面倒くさいとは思ってもこちらの都合で蹴るわけには行かない。 「これも仕事だ」と思いなおし適当なメモに書き付けるとそれもデスクの前の壁に貼り付けた。 これが部屋を汚くする原因だとは気づいていない辺り、唐杉はいかに優秀といえど片付けの才能は持っていなかったのだろう。 しかし才能がなくても部屋は片付けなければ落ち着いて作業も出来ない。 やるしかないかと唐杉は一種の諦めの境地に至るとノロノロと床に置きっぱなしになっていた荷物を片付けるべくしゃがみこんだのだった。
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管理人の詳しい取り説はmixiにて(笑)
壊れやすいナマモノですので、説明書をちゃんと読んで楽しく遊んでね<(どうやって遊ぶんだ)
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